教授あいさつ


佐賀大学医学部 放射線医学教室
教授 入江裕之

佐賀大学放射線科へようこそ

 当教室は昭和56年4月に松岡順之介初代教授以下6名のスタッフで開設され、昭和58年2月から岸川高教授、平成6年7月からは工藤祥教授が主宰されてきました。平成24年8月より私が4代目の教授として教室を運営させて頂いています。私は昭和61年に九州大学を卒業、同大学放射線科に入局して、九州大学病院およびその関連病院で研修し、放射線科専門医を取得した後、平成4年から2年間、米国アイオワ大学に留学し、腹部診断クループの一員として臨床に携わりました。帰国後は九州大学病院に戻り、腹部領域の画像診断とIVRの診療と研究を行い、平成19年11月に准教授として当科に赴任していました。専門は消化器領域の画像診断で、なかでも膵の画像診断の研究(ちなみに自己免疫性膵炎の画像所見として有名?な“capsule-like rim”は私が命名しました)を中心に行ってきました。

 当教室の初期のスタッフは九州大学放射線科からの出張者が主体でしたが、昭和59年の佐賀医科大学第1期生の入局以来、これまでに60名を超える入局者を迎え、現在はすべて“自前”のスタッフです。現在の当教室の定員は、教授1、准教授2、講師2、助教5、医員5で、総勢15名で診療・教育・研究にあたっています。現在の医局員は30余名、関連病院は12病院で、少人数ですが、毎年新入局員も入っており、関連病院も増加中です。

 当教室の特徴は”臨床に強い”点にあると思います。画像診断のみならず、IVRや放射線治療においても、質の高い放射線診療を行っていると自負しています。この点に関しては、私が九州大学に在任中から感じていたことでもあり、他の施設の先生方からも同様の意見を頂いています。教育に対する教室員の意欲も高く、PBLや講義はもちろん、臨床実習でも労力を惜しまず指導しています。教育を通じて学生や研修医に放射線科に興味をもって貰うことが、放射線科医を増やす最良の方法と思い、教室員全員で取り組んでいます。研究面については、まだまだと言わざるを得ない状態ではありますが、全国学会での発表だけでなく、北米放射線学会、欧州放射線学会や米国放射線腫瘍学会などの国際学会での発表も増えてきています。従来から行われてきたradiologic-pathologic correlationに基づく研究に加え、最近ではモダリティベースの研究も行われるようになってきており、今後に期待しています。当教室ならではの臨床に直結する研究を継続的に行って、さらにそれらを成果として残す環境を整えたいと考えています。

 私の教授としての役割は佐賀大学医学部放射線医学教室を発展させることにあります。佐賀県では診断、治療に関わらず放射線科医がまだまだ不足しています。一方で、放射線科医の需要はこれからますます増加すると予想されます。“明るく、楽しい放射線科”をモットーに、これまで培ってきた当教室の長所を失うことなく、足りない部分を補って、臨床科に信頼され、患者さんのためになる放射線科医を1人でも多く育てること、それが私の使命であると考えています。

 佐賀大学医学部放射線科をどうぞよろしくお願いします。