核医学

核医学検査

核医学検査は、γ線を放出する放射性同位元素で標識した薬剤(放射性医薬品)を体内に投与し、検出器を用いて体内から放出される放射線(γ線)の分布を測定・画像化し生体内のさまざまな情報を得ようとする検査です。

CT、MRIが主に病変の形やサイズなどを調べる検査であるのに対し、核医学検査は放射性医薬品がどこにどれだけ集まっているかを調べることで、病変の代謝や血流(機能)を評価します。核医学検査の検査目的は多岐にわたりますが、需要の多いものとしては癌の骨転移の検出(骨シンチグラフィー)、炎症部位の検出(ガリウムシンチグラフィー)、心筋や脳の血流評価(心筋血流シンチグラフィー・脳血流シンチグラフィー)などが挙げられます。

検査方法

静脈注射(甲状腺検査の場合はヨード内服)後、一定時間経過ののちシンチレーションカメラ(検出器)で体内を撮像していきます。検査目的によって注射後撮像までの時間は異なりますが(10分後~7日後)、撮像時間は10~30分程度です。

使用される放射性物質はごく微量で、短時間で体外に排泄されるため、人体への放射線の影響はほとんど無視できます。副作用もまずありません。

PET-CT検査

PET 冠状断(右) PET-CT冠状断(左)

 

 

 

PET 冠状断(右) PET-CT冠状断(左)

下部食道に高集積が見られ、食道癌と診断。その他の部位には異常集積(転移)なし。

PET(positron-emission tomography, ポジトロン断層撮影法)検査とは、ポジトロン(陽電子)という放射線を出す物質を含んだ薬(ポジトロン放出物質)を注射し、そこから出る放射線をPET装置で検出し、薬の体内分布を画像化して病気を診断する検査法です。

18F-FDGという薬はポジトロンを出す放射性フッ素(18F)に、ブドウ糖によく似た物質(FDG:フルオロデオキシグルコース)をつけた薬で、ブドウ糖をよく使う組織(脳、心筋など)にたくさん集まります。

がん細胞は、増殖するために正常細胞よりたくさんのブドウ糖を必要とします。このため18F-FDGを注射するとがんの病巣にもたくさん集まります。そこから出る放射線をPET装置で検出することにより、がんの存在、転移や再発がないかなどを調べることができます。但し、がんの性質、大きさ、部位、血糖値が高い等の諸条件によりがんが検出されにくいこともあります。また、がんでなくても一部の良性疾患や炎症疾患、生理的機能(腸管や筋肉の運動)にくすりが集まることもあります。このように、がんの診断には限界があることを知っておく必要があります。

検査方法

静脈注射40~60分後にPET-CT装置で撮像します。PET-CT装置とはPETとCTを連結した機械で、病変の形状と機能を組み合わせた情報が得られます。撮像時間は10~20分程度ですが、検査後60分後に2回目の撮像をすることもあります。

この検査もわずかに放射線を浴びますが、放射線障害の起こる可能性はありません。なお、検査前の数時間前より食事やブドウ糖の入った飲み物の摂取は禁止となります。また妊産婦、授乳中の女性には原則として行うことができません。

当院では2010年4月よりPET-CT検査が施行可能です。

2013年3月より外部医療機関の患者様のPET-CT検査も放射線科での検査受け入れが可能となりました。
依頼の詳細は佐賀大学医学部附属病院HPの地域医療連携室へアクセスして下さい。

» PET-CT検査の予約

核医学治療

放射性同位元素の注射による治療で、放射性同位元素内用療法と呼ばれています。転移性骨腫瘍の除痛目的、あるいは甲状腺癌や甲状腺機能亢進症の治療目的で施行されます。

当院では2010年1月より、塩化ストロンチウム(メタストロン)による多発骨転移除痛療法を放射線治療部門と共同で実施しています。甲状腺癌の内用療法はやや大量の同位元素を投与するため一定期間管理区域にある病室に入院する必要がありますが、現在のところ佐賀大学付属病院ではこの治療は行っておりません。